松本麗華さんのこと。
思い立って松本麗華さんのことを書こうと思った。
彼女は言わずと知れた、あのオウム真理教・麻原彰晃の娘さんである。
彼女のことを少しなりとも知ったのは、彼女が書いた『止まった時計』を読んだことがきっかけだった。
もちろん、オウム事件時のうんざりするほどの加熱報道の中、彼女の名前も出ていたから、何も知らなかったわけではない。しかし、本を読んでみて初めて、彼女がどれほどの困難の中を歩いてきたかを思い知らされたのだ。
念のため、書いておくが、彼女は何ら罪を犯している訳ではない。
しかし、変なたとえだが、おそらくは肝の据わった犯罪者ですら、尻をまくるであろうほどの荒波の中を生きることを余儀なくされてきた。
知らない人には、以下のページが簡単にまとめられている。
これらも、過去の話ならまだいいが、現在もあまり変わらない状況にあるようだ。
いつだったかは失念したが、近年も、大きな会社に彼女が資質を期待され、カウンセラーとしてスカウトされたが、契約を結んだにかかわらず、働き始める前に一方的に契約を切られたといった話をしていた。
どこのカウンセリング会社かも失念してしまったが、しっかりとした会社のイメージだった。そのしっかりした会社がスカウトし、契約したのだから、本人もしっかりと勉強してきたのだろう。
それが、おそらく出自による差別であろう、契約の破棄である。「スカウトしておいて?」だが、彼女が受けたショックは、我々が仕事を探して断られるときのダメージとは比較にならないのではないか。自分の努力ではいかんともしがたい問題で拒絶されるのだから、その絶望たるや想像にあまりある。
契約を切る決断をした人間は、一度自分がそうされてみたらいい。
一番いいたいのは、ここではない。
一番いいたいのは、いまだにこのような困難な人生を歩いている人が、ひたすら前向きに歩き続けているということである。
心ない人が、彼女に罵声を浴びせても、それでも真摯に対話する姿は感動すら覚える。
わたしには決してできない。
父親のことはさておき、彼女を応援していきたい。